幼児教育にはさまざまな教育アプローチがあり、それに伴いカリキュラムも多様である。以下に、世界的に使用されている幼児教育カリキュラムを紹介する。
IB PYPは、3歳から12歳の児童を対象とした国際バカロレアの初等教育プログラムである。このプログラムでは、子どもたちが自ら問いを立てて答えを探る探究型学習を中心に据えている。
知的、社会的、感情的、身体的な成長をバランスよく重視し、異なる文化への理解や地球市民としての責任感を育むことを目的としている。
リスクを恐れず挑戦する力やコミュニケーション能力など、学習者としての特性を育成し、事実の暗記に留まらず大きな概念を理解することを重視している。IB PYPは、子どもたちが主体的に学び、将来の学びの基盤を築くことを目指している。
IEYCは、2歳から5歳の幼児を対象とした国際的な初期教育カリキュラムである。このプログラムは、遊びを通じて学ぶという幼児期特有の学びのスタイルを前提としており、感覚的な体験を通じて子どもたちの好奇心を引き出すことを重視している。
さらに、社会的・情緒的な発達を促進することを目的としている。IEYCでは、テーマに基づいた学習ユニットが提供され、子どもたちの興味を引き出しながら、全体的な発達をサポートしている。
EYFCは、イギリスで採用されている0歳から5歳までの幼児を対象としたカリキュラムである。このカリキュラムは、幼児期における子どもの発達と学びを包括的に支援することを目的としており、個々の子どもが健康で幸福に成長できるよう設計されている。
コミュニケーション、身体の発達、創造的表現などの多様な領域における学びと成長が重視されている。
モンテッソーリ教育は、イタリアの教育者マリア・モンテッソーリによって開発された教育法である。この教育法は、子どもたちが自分のペースで学び、自律性を育むことを目指している。
モンテッソーリ教育では、子どもたちが自由に選べる多様な活動が用意され、実践的な学習や自主的な探求が強調されている。
ウォルドルフ教育、またはシュタイナー教育は、オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーによって提唱された教育法である。
この教育法では、知的な発達だけでなく、芸術や感情、意志の発達も重視し、全人格的な教育を目指している。
教育の初期段階では、芸術や遊びを通じて創造性と社会性を育み、段階的に知的な学びへと移行する。
レッジョ・エミリア・アプローチは、イタリアのレッジョ・エミリア市で生まれた教育方法である。このアプローチでは、子どもたちの探求心を基に学ぶプロセスを重視し、自主性や創造性を尊重している。
また、環境(教室の設定)を「第3の教師」として捉え、学びを支援する重要な役割を担っていると考えられている。
これらのカリキュラムは、それぞれ独自の哲学や目標を持ちながら、幼児の成長と学びを支えている。保護者や教育関係者にとって、目的に応じた最適なアプローチを選ぶことが重要である。